七尾市石崎町は七尾湾に面した活気あふれる漁師町。昔気質が今も残るこの町で、海の男達が一年に一度熱い血潮をたぎらせる祭りが石崎奉燈祭です。
かつては石崎八幡神社の納涼祭りで、京都祇園祭りの流れを汲むといわれる山車が繰り出されていました。しかし、度重なる大火で山車を焼失し、中断を余儀なくされました。町が活気を取り戻した明治の中頃、奥能登の宇出津地区よりキリコを譲り受けたことを契機に、大漁や五穀豊穣の祈願とともに火を鎮める神事としたことから、「奉燈」を担ぐ灯籠神事として復活を遂げ、今の形がつくられたと言われています。
奉燈(キリコ)は高さ15m、幅3m、重さは2tもあり、担ぐキリコとしては最大級。ねじり鉢巻き、さらしに地下足袋姿の約100人の男衆に担ぎ上げられ、「サッカサイ、サカサッサイ、イヤサカサー」と威勢のよい掛け声とともに町内を練り歩きます。
奉燈の上からは、花編み笠に色鮮やかな浴衣姿の「小若衆」によるお囃子がにぎやかに鳴り響き、その笛や太鼓、鉦の音に合わせて男衆が大きな奉燈を狭い路地の軒をぎりぎりにかすめるように勢いよく担ぎ回します。統制のとれた小気味よい動きが見どころです。
夕刻になると神輿のお涼み場所である「堂前広場」に6基の奉燈が勢ぞろい。神事を終え、あたりが夕闇に包まれるといよいよクライマックスです。奉燈の胴体部に記された「大書」と豪快な武者絵が闇の中に幻想的に浮かび上がります。
太鼓がドーンと打たれると、掛け声とともに奉燈が担ぎ上げられ、続いて囃子に合わせて、乱舞競演が始まります。その勇ましさは、能登の荒海で鍛えられた男の迫力そのもの。漁師町の意地をかけ力強く乱舞する奉燈に、夜空の花火が彩りを添えると、さらに大きな歓声があがります。担ぎ手も観客も興奮の渦に呑み込まれていきます。
100人もの海の男たちが、大きなキリコを担ぎ上げて練りまわる威勢よさは必見です。細い路地から見上げると、キリコがますます大きく見えて、迫力満点。キリコを通すため、電線が道路を横切らないようにしている、地域の心意気にも注目です。
石川県観光
スペシャルガイド
藤平 朝雄 さん
能登半島広域観光協会相談役。
元キリコ会館館長。
●100人の男達の統制のとれた動き
●闇に浮かぶ幻想的な大書と武者絵
●漁師町ならではの圧倒的な勇ましさ
開催日/8月第1土曜日
場所/七尾市石崎町
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問い合わせ/七尾市交流推進課
☎0767-53-8424