能登のキリコ祭り

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珠洲市
SUZU CITY

寺家キリコ祭り
じけきりこまつり

屋根の大きさは畳12枚分 
豪華絢爛な巨大キリコ

そびえ立つキリコの雄姿

 奥能登の珠洲市三崎町寺家地区は、往時、北前船が寄港し賑わった港町。紀元前に創建されたと伝わる古社・須須(すず)神社の秋祭り「寺家キリコ祭り」は、巨大なキリコが出ることで知られています。
 最大のキリコは県木のアテ(能登ヒバ)でつくられ、高さ16.5m、重さ4t、屋根の大きさは畳約12枚分もあります。また、大きいだけではなく、輪島塗で仕上げられ、屋根や柱は金箔貼りの精巧な龍の彫刻などで飾られており、意匠にも見どころがあります。祭りの夜、神社に4基のキリコが勢ぞろいすると、まさにそびえ立つという風情。雄々しく、絢爛豪華な姿に圧倒されます。
 毎年この大型キリコを繰り出すのは大変な作業。ふるさとへの思いや祭りに対する誇りが強いエネルギーとなり、町を出て生活している若者も、祭礼には帰省して祭りに参加します。

夜通しで巡行し朝を迎える

 午後9時、暗闇の中で厳粛に「神移し」の神事が執り行われると、神輿の前後にキリコがついて巡行が始まります。神輿が各家を回る間、巨大なキリコは大通りで太鼓や鉦などを鳴らしながら神輿を待ち、合図のホラ貝が吹かれると動くというように、巡行はゆっくりと翌朝まで続きます。
 朝日が昇り始める頃、キリコは海岸沿いに整列。明け方の浜辺で、鈴なりの提灯をつけたキリコが朝焼けでオレンジ色に染まる姿は得も言われぬ美しさです。

炎の浄化、火渡りの神事

 夜が明けきると、神輿とキリコは須須神社に戻り、「火渡りの神事」が行われます。参道に約100mの長さに敷かれた稲藁に火をつけて、2基の神輿が火の上を一気に駆け抜けます。藁の火が残っている間は何度も行ったり来たり駆け抜け、宮入します。その後、キリコは1基ずつ、祭りの終わりを惜しむかのように激しく練り回ります。

【寺家のキリコについて】

 寺家には4基の大キリコが保有されており、その中でも最大のものは、塩津上野の集落が保有するキリコで、その高さは16.5mにおよび、重量も4t、屋根の部分の面積も12畳という。また、やや小振りではあるが、大浜の集落のキリコは、四本柱に金箔を押した彫りの深い昇り竜・降り竜が装飾されており、その豪華さに圧倒される。4基のキリコはいずれも総漆塗りで、屋根裏の天井鏡板および御幣付近の四本柱は、重厚な龍の彫り物と金箔で飾られている。
 塩津上野のキリコの欄干部分は、擬宝珠(ぎぼし)高欄とし、随所に金具で装飾されており、細部も見応えがある。四本柱は貫(ぬき)で桟が留められているが、その木鼻(きばな)の部分も丁寧に雲紋の繰形に彫り込まれている。「ナカフク」(奉灯)の側面に目を転ずると、飾りの部分に格狭間(こうざま)の意匠もあつらえられており、細部にわたり見る者を飽きさせない。また、平成21年に佐藤俊介氏(金沢美術工芸大学・日本画)が制作したキリコ絵も興味深い。地元の「獅子岩伝承」をテーマに、獅子に乗って海を渡る女神の姿を描いており、従来の観音菩薩とは異なる斬新なキリコ絵は見どころの一つであろう。

石川工業高等専門学校
建築学科 准教授/博士(工学)

熊澤 栄二 さん

ココがみどころ【感動ポイント】

●金箔張りの彫刻で飾られた絢爛豪華な巨大キリコ
●朝焼けの中で見るキリコの美しさ
●勇壮な「火渡りの神事」

開催日/9月第2土曜日
場所/珠洲市三崎町寺家地区
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問い合わせ/ 珠洲市 観光交流課
☎0768-82-7776

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